原宿と千駄ヶ谷の間に国内外の多くのファッション好きが訪れるストアがある。
デザイナーズブランドとアーカイブや古着が共存するストアTHE ELEPHANTだ。
独自の審美眼によりセレクトされるブランドと服は国内外のファッション好きを魅了してきた。何がそこまで人々を惹きつけるのか、WTSは独占インタビューを行った。

THE ELEPHANTはどのようにスタートされたのでしょうか? きっかけや何かエピソードがありましたら教えて下さい。 THE ELEPHANTは2018年にスタートしました。オーナーはそれ以前に約10年間、古着のバイヤーとして国内外での買い付けやセレクトショップでの販売に携わっており、大学時代から一貫してファッション業界で経験を積んできました。自身の店を持つことは、自然な流れだったと聞いています。
若い頃に通っていた原宿の隠れ家的なショップや、そこでしか出会えない特別な服に強く影響を受けていて、「自分もそんな出会いを提供できる場所をつくりたい」と思ったことが、THE ELEPHANTを始める大きなきっかけだったそうです。

W:THE. ELEPHANTのコンセプトを教えて頂けますか?
E:大切にしているのは、訪れるお客様はもちろん、私たち自身にとっても「新しくて楽しい出会い」を感じられるような、特別な空間をつくることです。アイテムそのものの個性や背景はもちろん、それが日常の中でどう活きるかというリアリティまで含めて、バランスの取れた提案を意識しています。
単なるトレンドの寄せ集めではなく、“強さ”と“品の良さ”が共存するラインナップを目指しています。また、「個性≠有名」「アンダーグラウンド≠かっこいい」という価値観から、ブランドの知名度や価格よりも、個性と洗練された美意識が共に感じられるかどうかを大切にしています。

W:セレクトされる際に重視されている点などを教えて頂けますでしょうか?
E:THE ELEPHANTでは、“そのブランドでなければ作れない”という特別な魅力を持ったブランドやアイテムを中心にセレクトしています。知名度や価格ではなく、プロダクトとしての完成度、デザイナーの視点、背景にある思想などを重視しています。そのうえで、日常のなかに自然と取り入れられるような感覚も大切にしています。また、1ラックに並べたときに、そのブランドの世界観がしっかりと立ち上がるようなセレクトを意識しているので、単体ではなくまとまりとしての見え方も大切にしています。

W:アーカイブをお取り扱いされている点がとてもユニークと感じるのですが、アーカイブをセレクトされたきっかけを教えて下さい。またどのような基準でアーカイブをセレクトされているのでしょうか?
E:アーカイブに関しては、オーナーが古着業界出身ということもあり、ヴィンテージやアーカイブへの思い入れが強くあります。過去の服に触れることは、私たちにとって大切なインプットのひとつですし、そこから今の時代につながる何かを感じることも多いです。今の感覚で見ても新鮮に映るものや、現代のブランドと並べたときに自然に馴染むもの、つまり“過去と現在をつなぐ視点”を持って、アーカイブを取り入れるようにしています。セレクトの基準はとてもシンプルで、「今見ても新鮮に感じられるか」「今の時代にもう一度提案する意味があるか」。そして何より、自分たちが心から「これ楽しいよね」と思えるかどうかを大切にしています。

W:国内だけではなく海外からも多くのお客さんが来ていると伺いました、どのような点が人々を惹きつけるのかと感じられていますか?
E:THE ELEPHANTのように、古着やアーカイブ、デザイナーズの新作が同じ空間でミックスされているショップは、国内でもあまり多くありません。そういった独自のセレクトに惹かれて来店してくださる方が多い印象です。また、ヴィジュアル面でも強さや明確な世界観があるので、SNSなどを通じて海外から興味を持っていただくことも増えています。実際に「ここにしかないものを見に来た」という声をいただくこともあり、そういった“目的地になる店”でありたいという思いは強いですね。

W:現在2店舗運営されていますが、東京と大阪でセレクト内容などは異なるのでしょうか?
E:基本的には、東京と大阪で大きな違いはありません。どちらの店舗でも、軸となる考え方や方向性は共通しています。ただ、お客様の反応や地域ごとの空気感に合わせて、少しずつ提案の仕方を変えている部分もあります。たとえば、一部のブランドには東京限定や大阪限定の取り扱いもあります。とはいえ、どちらの店舗にも共通したファッション感覚を持つ方々が自然と集まってくださっていて、結果的に同じような空気やコミュニティが生まれていると感じています。

W:今後さらにストアを増やすことなども考えていらっしゃいますか?
E:「ストアを増やす」こと自体が目的になってしまうと、今のTHE ELEPHANTらしさが薄れてしまう気がしています。ですので、もし次の展開があるとしても、それは自然な流れの中で、「この街にこの空気感を持っていきたい」と思えるようなタイミングや出会いがあったときだと思います。あくまで無理のない範囲で、THE ELEPHANTらしさを保ちながら広げていけたら理想ですね。

W:今後のTHE ELEPHANTの展望についてお聞かせ頂けますか?
E:これまでと同じく、急がず、焦らず、自分たちらしく続けていくことが一番の目標です。今後も、“特別な出会い”を提供できる場であり続けること。そのためには、変化を恐れず、でも本質的な部分はぶらさずに進んでいきたいです。お客さまやスタッフを含めて、関わる人たちが幸せになれるような場所でありたいと思っています。
TEXT:SHUHEI
PHOTO:MARINA TSUJIURA


 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			