Trax Tokyo Special Interview

Editorial

多くのセレブリティーやアーティストが足を運ぶブティック「Trax Tokyo」。

滅多にお目にかかれないラグジュアリーな時計やジュエリーを取り扱う同ブティック。

店内には、それらを囲むように直筆サインの入ったユニフォームやベアブリック、スニーカー、アートが飾られた夢のような空間となっている。

WTSは、「Trax Tokyo」のオーナーMike氏にインタビュー。

Mike氏と「Trax Tokyo」にまつわるストーリーについて伺った。

WTS(以下:W)まず、トラックス東京を始められたきっかけを教えて頂けますでしょうか?

Mike氏(以下:M)ジュエリー屋になりたいとか、そういう大それたことではなくて生活するのに日銭を稼がなきゃいけなかったというのがきっかけなんですよ。僕らロスに住んでいて、その時にお金なかったんで、黒人街で買った100ドルのジュエリーをネットで200ドルで売ったりとか、そういうのを繰り返していたら、いつの間にかこうなったっていう感じです。

W:ジュエリーに興味を持たれたきっかけはなんですか?

M:ずっとポップカルチャーが好きだったんです。僕が20歳の時は、向こうの音楽とかファッションが好きでした。ちょうどショーンジョンとかロカビリーとかいうのが流行っていて。みんなジュエリーとか着けていたんですけど、当時お金がなかったんでね。いつかこういうのが欲しいなと思いながら、ずっとそういうのを追いかけていました。

W:元々LAにいらっしゃったとのことでしたが、海外と日本でジュエリーに対する考え方が違うなって感じられたりとか感じられたりはしましたか?

M:そもそものパイが違いますよね。例えば、アメリカにいるとマイアミチェーンとかネックレスってもう常備みんな持っているものというか、必ず何かお金を稼いだら欲しいアイテムなんです。まだマイアミチェーンやテニスチェーンとか、カスタムというのはあまり日本で定着してないですよね。どちらかというと、カルティエとかティファニーとかブランドものの方が定着しているかなというのがあります。

W:日本でお店をオープンしようと思ったのはなぜだったんですか?

M:話すと長くなるんですけど、僕が21、2歳でロスに住んでいた時は、お金を借りてクラブやってたんですよ。その副業でジュエリーとか洋服を日本に卸したりとか、色々なことをやってたんですよ。たまたま、ニューヨークの僕の知り合いがTrax New Yorkというのを同時期ぐらいで始めたのかな。それをEBAYで売ったりとか、色々やってて、俺もちょっとそれを日本側のウェブサイトで売ろうかなと。ヤフーで売ったりとか、色んなことをやっていたら、日本で過去最高売上が出てたりしてTrac Tokyoを始めたという感じですね。

W:日本で人気が出たきっかけとかは何かあったんですか?

M:人気になったという感触はないんですけど、ただ安かったので売れたのかな?

W:特にどういったものが人気だったんですか?

M:最初の頃は、ダイヤを付けた30万ドルの時計とか、G-SHOCKのダイヤとか、14金のアメリカンジュエリーとか、そういうのが売れてた感じです。あまり他にやってるところがなかったんですよ。

W:最も印象に残ったジュエリーとかって何かあったりしますか?

M:印象に残ったジュエリーは、初めて作った自分の名前入りのペンダントですね。当時2,000ドルぐらいのものだったんですけど、利益が出たお金で自分のペンダントかネックレスを作りたかったんですよ。いまだにずっと置いてあるんですけど。それが嬉しくて、一番印象に残っていますね。アーティストさんに作ったりとか、色々やっているんですけど、何か全ての始まりはそこだったのかなと思うと、何か感慨深いものがありますね。

W:他の方に作られたもので、印象に残っているものは何ですか?

M:最近で言うとやっぱりAWITCHさんの名前の入ったネックレスですかね。物凄くいっぱい使ってくれているので、何か作った方も嬉しいなと思いますね。あとプリンスがすごい好きで、プリンスのギターのペンダントを作ったことがあって、あれも常に着けてました。直近で言うと僕は無類の大谷君好きなので、ドジャーズの許可も大谷くんの許可も取らずに勝手に大谷君のペンダントを作りました。(笑)

W:HIP HOPアーティストの方々の繋がりがあるMikeさんですが、ジュエリーとHIPHOP、そしてファッションの繋がりについてはどう思われますか?

M:90年代とか2000年代初頭とか時代毎で、ジュエリーの流行りと音楽との密接な繋がりはあると思います。その時代、その時代のマスターピースみたいなジュエリーって必ずあるんですよ。2000年ぐらいだとNIGOさんのジェイコブで作ったペンダントとか、最近だとTRAVISのネックレスとかKendrickのトゲトゲとか。色んなアーティストさんがこのペンダントを見たら、この人だと分かる色んなジュエリーを作ってきているので、歴史的を振り返って見ていくと面白いですよね。

W:アーティストさんから制作を頼まれたりすると思うんですが、今はこういう傾向があるとかってありますか?

M:どうなんでしょうかね。1990年代は、金なんですよ。みんなやっぱりトゥーパックの時とかは、金無垢のロープチェーンとかが流行っていて、そこからダイヤギラギラとか、ダーティーサウスクラッシュまでとかね。最近だとどんどんクリエイティブになってきている。ケンドリックだったらティファニーで作ったトゲトゲの王冠とかヴィトンとかもそうですけれども、ジュエリーもよりヒップホップ寄りになっている感じがします。今までヨーロッパ系のジュエリーだったのが、アメリカ系のジュエリーになっているというか。説明しづらいんですけど、音楽とかファッションが進化するのと同じようにどんどん進化しているなって感じます。

W:多くの著名人の方が「Trax Tokyo」さんにいらっしゃっていますが、皆さんを引きつける魅力って何だと思いますか?

M:引き付けているとか、何か売っているっていう感覚よりも本当に友達の輪が広がっている感覚なんですよ。僕らは広告しているわけでもないですし。海外からも有難いことにアーティストさんが来てくれるんですけど。元々LAにいた友達が時間がたつと、それぞれ良いポジションになっていたり、有名になっていたらスケールが大きくなるじゃないですか。日本に行ったらMikeのところに遊びに行こうぜみたいな感じなんですよ。僕も寄ってくれたら、特に商品を売るわけではなく、酒飲みに行って楽しくやって。それをやっていたら、また友達の輪が広がってビジネスが回ってるって感じなんです。

W:今、最も欲しいジュエリーまたは作ってみたいって思われているジュエリーはあったりしますか?

M:これ言っちゃあれなんですけど、自分が欲しいものを作って、それを売るパターンが多いので、結構買い物欲求は満たされているんですよ。とりあえず自分が着けたいとか、欲しいとかは作ります。大谷選手のジュエリーが一番最近自分用に作ったものですかね。向こう10年使えるじゃないですか。10年間使えると思ったら安いなと。

W:今後のプロジェクトで何かお話しできることがあれば、教えて頂けますか?

M:僕なんか全然ジュエリー業界で言うと、アメリカを含めて全然前下の方なので、何かすごいことをやった自覚もないですし、やっているとも思ってないんですよ。ただ、従業員も増えてきているし、若い子たちがいっぱいいるので、彼らのためにある程度ブランディングしていって道筋を作ってあげないと。僕も45なので、あとは頑張れってね。50歳まで5年だと思うと何か生き急いで色々なことをやってあげなきゃなっていう思いはあるんですけど、あまり店を大きくするとか、多店舗展開するというよりは、自分たちが今までやってきた好きなことをもっと追求していくだけかなっていうイメージですね。