VEIN Special Interview

Editorial

先日、渋谷で2025年春夏コレクションを発表したVEIN。

キービジュアルにて公開されていた新作のスニーカーがアパレルと同様に注目を集めた。

WTSでは、VEINデザイナー榎本氏にブランドにとって特別な存在であるスニーカーについて話を伺った。

WTS(以下:W)今シーズンのフットウエアはシーズンテーマに沿って作られたものですか、それともそれとは別軸でデザインされたものですか?

Koki Enomoto(以下:E)フットウエアは、長い製作期間を要するんです。なので最初にデザインするのはやっぱりシューズからになるんですよね。そういう意味ではシューズから始まったコレクションだと思います。シューズのデザインエッセンスが服に反映することも多々あります。

W:今回フットウェアがキービジュアルにも使われていたのでさらに重要度が高いのかなと思いました。

E:自分で何日も何日もクレイモールドをしたソールということもあって、とても気に入っていました。

オリジナルシューズを作るには、時間も開発費用もかかるのであまり機会が作れないっていうのが正直なところでして。コレクションを象徴するアイテムだと思ったのでキービジュアルに選びました。

W:フットウェアには元々ご興味がおありだったのでしょうか?

E:10代の頃から暇さえあればスニーカーショップや、サッカーショップでスパイクをみたりとかそういう少年ではあったので、元々興味はすごくありました。

最初にアタッチメントに入社し、シューズをデザインさせてもらえるようになり、好きが形になっていったっていう感じです。今もこだわりは持っていて、靴がないとコレクションが完成しないなと思ったりもします。

W:今回のコレクションとシューズのインスピレーションなどについて教えて頂けますでしょうか?

E:1995年から2005年くらいのスニーカーやサッカースパイクにあった流線型のデザインに惹かれて、そこからの着想でカーブであったり、コレクションにおける服も立体パターンにしようかなという感じで出来上がっていきました。

ただ、作っていく過程において服には制限があまり無いんですけど、シューズはかなり制限があります。製法、木型、ソール、素材等、多くの制限の中でデザインしていかなければなりません。そういう意味で作り方が全く異なる中で革新性をどう出していくかみたいなのがフットウェアで、そこが大きな違いかなと思ってやっています。

W:今回のスニーカーは、流線的なデザインのアッパーと近未来的なミッドソールが特徴的に感じます。ソールは柔らかそうな素材を使用していますね。

E:アウトソールとミッドソールの材質を変えて、TPUという軽くて弾力性の優れた素材をミッドソールに使っています。インソールも弾力性のあるものなので、クッショニングが優れたスニーカーになったんじゃないかなと思います。大手スポーツメーカーさんにそういった開発のところでなかなか勝てないんですけど、デザインの部分で僕らは独自性を持ちたいと思っているんです。そういう着用感に関わる部分は担保してあげてないとシューズとして難しいなという思いがあるので、そこは意識してやっています。

W:過去のスニーカーやフットウェアのアーカイブも拝見させて頂きましたが、フットウェアのデザインは榎本さんの好きな何かが影響していたりしますか?

E:大きく影響してるかもしれないですね。

こだわりというか好きな部分を濃縮したようなデザインというのは毎回やってはいるんですけど、シーズンによって革靴な気分の時やスニーカーでもハイカットの気分の時とか厚底の気分など様々なものがある中で、その時自分が気に入っているアイテムを自分の好きなスタイルにデザインしていくことを心掛けています。そうじゃないとできないのがシューズデザインなような気がします。

やはり自分が履く事を想定して作っていくと細かいディテールや精度が気になっていくので、自ずと独自性と完成度が備わったシューズになっていくと思っています。

W:VEINにとってのシューズというのは?

E:VEINは、僕の好きなモノを集めたようなブランドです。その好きなモノの中でもシューズはかなり大きな存在です。そういう部分は大事にしていきながら、VEINと言えばシューズだよね、みたいなブランドイメージにさらになっていくことがいいかなと思います。