スニーカーという枠を超え、ラグジュアリーブランドとコラボレーションを行ったりオークションにかけられる現代。そんなスニーカーの中でも伝説的な一足に数えられるのがこのLondonだろう。
2002年パリより各都市で開催された”WHITE DUNK展” パリ、東京、ニューヨーク、ロンドンで開催される予定だったが唯一ロンドンでのイベントは実現しなかった。
2005年のニューヨーク開催の際に多くのスニーカーヘッズ押し寄せ暴動が起こり警察まで出動し多くのメディアに大きく取り上げられたのだ。
その騒動の結果、ロンドンではWHITE DUNK展が開催されず最終的に約200足が地元の小売店を通じて販売されたのがこちらのSB DUNK LOW “LONDON”。
同モデルはロンドンの曇り空にちなんでディテールもカラーも控えめでミニマルな印象だが、その中で一際目立つサイドの刺繍ライン。こちらのでデザインは、ロンドンを流れる200マイルの水路、テムズ川を落とし込んだものだ。このような背景から今でもSB DUNKを代表する希少な一足として語り継がれている。

先述のNIKE SB DUNK LOW “LONDON”には、実は希少なサンプルが存在する。
そもそもサンプルとは、市販品の原形となるモックアップデザインでコスト面より素材やデザイン性を重要視したプロダクトのことを示し、さらにそのサンプルの中でもPROMOTION SAMPLEと今回紹介するPROTOTYPEの大きく二つに分類される。
前者はプロモーションを意図した宣伝広告として、制作に携わった関係者やNIKEとの契約選手などに向けて贈られるモデル。(総称してF&Fと名称されることも)
後者は製品化される前に行う試作段階において製造されたモデル。その為、こちらのPROTOTYPEモデルは製品化された先述の”LONDON”と比較すると素材の質感やカラートーンも微妙に違いが見受けられる。
最大の特徴がサイドにデザインされたテムズ川の刺繍。比べて見て頂くと川の向きが反転している。
このように一般販売用とサンプルを比較して見てみるとNIKEがスニーカー一足を作るのにいかに試行錯誤していたかが伺える非常に希少で歴史的価値のある一足と言えるだろう。
