Maison MIHARA YASUHIRO AW25 Collection LOOK

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Maison MIHARA YASUHIRO が Autumn/Winter2025 Collectionをパリで発表。

Maison MIHARA YASUHIRO が Autumn/Winter2025 Collection において取り組んだのは、パラドックス(逆説)の手法によってブランドが約 30 年間に渡っ て積み上げてきたアイデンティティのコアを再提示することだった。

スピーディーな時代の潮流に相反するスローな概念として掲げた “tailoring” いわゆるスーツのテーラリングにとどまらない広義の “仕立 て ” を示す、いまやある種の埃臭ささえ漂う語としての に関する再考を起点として、造形的な矛盾を感じさせる形態の洋服を展開した。

コレクションを通して多用された、大小の異なる 2 着のブルゾンが上下逆さまにドッキングされたあべこべなパターンは、仕立てという行 為の本質を逆説的に浮かび上がらせ、パンツのパターンが袖へと転化されたトップス群には脱構築の古典的な手法としてのトランスフォー ムが応用されている。

デザイナーのオリジンでありブランドのシグネチャーでもあるスニーカーは「OLIVER」が新たに誕生。
2020 年にスタートしたライン「General scale.」とイタリアにファクトリーを構える「AUTRY」のコラボレーションモデルは、時代の趨勢に左 右されないオーセンティックなプロダクトを志向する AUTRY のフィロソフィーに共鳴した三原が、代表的なスニーカー「MEDALIST」のレト ロスペクティブな造形を一切崩さず、炙り加工によって経年劣化で朽ちたソールを再現した。

「履き古されたような風合いのスニーカー」のうちに包含される過去と未来をめぐる、時間概念のパラドックスが本質についての思索を呼 び起こす。

本コレクションで試みられたのはあくまでも “tailoring” の見直しであって “new tailoring” の発明ではない。新しい何かを生み出すという幻想の 呪縛から逃れ、パターンを引き布を断ち、縫い合わせるという根本的な行為の再検証によってブランドの輪郭を明瞭に描き出し、風化に耐 えうる強度を付与するという逆説的なプロセスである。